水槽管理で面倒なのがガラス面やレイアウト素材に発生するコケの掃除。
ガラス面に生えるコケは、スクレイバーやメラミンスポンジなどで掃除したり出来ますが、水草やレイアウトの石や流木などにコケが発生すると、簡単に水槽外に取り出すことが出来ないので、メンテナンスをするのが大変です。
そこで、水草水槽などでコケ取り用生体として、コケを食べてくれるエビ類(甲殻類)を入れておくことが多いですが、この水槽内のコケ取り用エビとして最もポピュラーなのがヤマトヌマエビです。
淡水水槽に発生するコケ取り用生体として最もポピュラーなヤマトヌマエビを飼うのに適した、水温・水質・餌などの飼育方法を解説します。
ヤマトヌマエビとは?
ヤマトヌマエビは、日本の渓流域に生息するヌマエビの仲間です。
食性は雑食性で、藻(コケ)や生物の死骸、生物の糞や死骸などが分解されて発生するデトリタスなどを食べています。
ヤマトヌマエビが生きている状態の熱帯魚などを襲ったと言う情報がありますが、積極的に泳いでいる熱帯魚などを襲っているところは私は見たことがありません。
しかし、熱帯魚が弱って死にかけている状態ならヤマトヌマエビが集団で襲っているところは見かけたことがある程度です。
逆にヤマトヌマエビに限らず水槽内で飼育するエビ(甲殻類)は、熱帯魚などにとっては餌として捕食対象となります。特にヤマトヌマエビよりも体長が大きい熱帯魚などと混泳(一緒の水槽で飼育)したら、一晩で水槽内からその姿が見えなくなることもあります。
水槽のコケ取り生体としてとてもポピュラーでメジャーなエビなので、アクアリウムショップやホームセンターのアクアリウムコーナーでは、必ずと言っていいほど販売されています。
その販売価格も1匹当り100円程度で販売されており、手軽に水槽に導入出来るのも水草レイアウターが好んで導入する理由でもあります。
ヤマトヌマエビの飼育データ
最大体長 | オス:3.5cm程度 メス:5cm程度 |
水温 | 15~28℃ |
水質 | 中性 |
寿命 | 3~5年 |
水槽サイズ | 30cm以上 |
餌 | 人工飼料 藻類では、珪藻・緑藻など |
飼育難易度 | かんたん |
※必ずしもこのデータ通りであれば安全に飼育できるというわけではありません。
特に夏場で水温が上昇して水槽内の溶存酸素濃度が低くなってくると、簡単に弱ってしまいます。水温が28℃位になってきたら、最低でもエアレーションをして溶存酸素濃度を高める必要があります。
ヤマトヌマエビを飼育する上での注意点
コケ取り目的なら餌を与えないようにする
ヤマトヌマエビを水槽で飼育する最大の目的として、水槽内に発生するコケ(藻類)の駆除が考えられます。
水槽内で混泳して飼育している熱帯魚への餌などが、底にある状態だとその餌をヤマトヌマエビが持ち逃げするようになったりします。
このようにして人工飼料や赤虫などを熱帯魚の餌として与えていると、これらの餌の味を覚えて積極的にコケ(藻類)を食べなくなります。
やはり、餌として美味しい味を覚えるので、水槽底面に沈下する餌などは必ずといっていいほど目的の熱帯魚が食べる前に強奪していくようになります。
このようなことから、コケ取り目的なら敢えて餌を与えないようにした方がいいです。
特にヤマトヌマエビが積極的にコケ(藻類)を食べるタイミングとしては、ショップから購入して水槽に導入した直後がMAX状態です。
常にコケ(藻類)がある状態だと、常に満腹状態なのか徐々にコケ(藻類)を食べるペースが落ちてくることがあります。
その場合は、別に水槽があればそちらの水槽に移してしばらく(1~2週間程度)絶食状態にして、再度元の水槽に戻すと空腹状態になったヤマトヌマエビがコケ(藻類)を一気に食べてくれるようになります。
水草レイアウトでは存在感が目立つ
水草レイアウト水槽でコケ取りエビとして飼育すると、その大きな存在感が挙げられます。
特にヤマトヌマエビのメスは体長が5cm程度になり、非常に大きく目立ちます。
90cmや120cm水槽なら、そこまで存在感はありませんが、30cm水槽だと結構目立ってしまいます。
30cm水槽なら5匹程度、60cm水槽なら10匹程度でもコケの予防には十分です。
それ以上の数を水槽に入れてしまうと、レイアウト水槽などではヤマトヌマエビの方が目立ってしまうので導入する数は注意した方がいいです。
混泳する熱帯魚の向き・不向きな相手
水槽でコケ取り目的でヤマトヌマエビを水槽に導入しようと考えますが、その混泳相手として問題無い熱帯魚と不向きな熱帯魚がいます。
先程の餌の問題やヤマトヌマエビを捕食してしまうような熱帯魚とは混泳させるには最大の注意を払う必要があります。
ヤマトヌマエビと混泳が不向きな熱帯魚
ヤマトヌマエビを同じ水槽に一緒に飼う事で問題が出る可能性が高い熱帯魚達です。
- 大型魚
- 金魚
- エンゼルフィッシュ
- コリドラス
- ベタ
などです。
コリドラスの場合は逆にヤマトヌマエビが餌を持ち逃げする場合が多く、コケ取り生体として働きずらくなり、また、コリドラスに餌が渡りずらくなるのが注意点です。
ヤマトヌマエビと混泳が向いた熱帯魚
- ヤマトヌマエビと同程度の体長で、温和な熱帯魚
- ネオンテトラやカージナルテトラなどのカラシン類
- オトシンクルス
などです。
まとめ
コケの生えた水槽のコケ取り目的として導入することが多いヤマトヌマエビ。
ヤマトヌマエビの飼育自体は簡単ですが、他の熱帯魚などと混泳させる場合には向き・不向きの熱帯魚もいるので、注意する必要があります。
適応水温は、低水温には耐性がありますが夏場などの高水温の場合には、水槽内の溶存酸素量をエアレーションで増やしてあげたり、水温を下げる工夫が必要です。
水槽に導入する匹数の目安として、30cm水槽なら5匹程度・60cm水槽なら10匹程度でコケ予防になるでしょう。
逆にコケが大量に発生した水槽の場合には、それ以上の数を一時的に入れてコケ駆除に活用してみて下さい。
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